(広報「大野城」 平成21年10月15日号掲載)

たらい・洗濯板・張り板
今、皆さんの家で活躍している電動の洗濯機が発売されたのは昭和28年のことでした。それ以前の洗濯は、すべて手洗いでした。暑い夏の日は汗をかきながら、寒い冬の日には冷たい水で霜焼けになりながら、せっせと洗濯をしていた時代がありました。
大正生まれの女性に話を聞くと、家事の中で一番きつい仕事は洗濯だったと言われます。初夏になると、冬の間家族全員が着ていた着物や綿入れやふとんの縫い目をほどいて洗い、のりをつけ、乾かします。ふとんもすべて打ち直します。農作業の合間を見て縫い始め、冬になる前の彼岸のころまでにすべてやり終えてしまわなければ、「ぴったれおどし」と言われました。「ぴったれおどし」とは、十月の末に吹く冷たい風のことで、このころまでに冬支度が終わっていない主婦たちは、だらしがないと言われました。
洗濯に使用する民具には、たらい、洗濯板、張り板、伸子針などがあります。たらい(大・小・手水たらい)と洗濯板と張り板は女性が嫁入り道具として必ず持っていきました。その中でも大きなたらいは子どもが産まれたときに産湯につけるまでは使わなかったそうです。