館長の部屋
更新日:2025年11月1日
赤司 善彦(あかし よしひこ)
11月 空高く、朝夕の空気も澄んできました。
11月に入りました。空高く、朝夕の空気も澄んできました。秋への移ろいが今年は遅いようですが、これから紅葉の見ごろを迎えますので心も弾みます。
さて、当館では芸術の秋にふさわしく、特別展「神技の複製アート展-さわれる名画-」を開催しています。徳島県の大塚国際美術館は、一度は行きたい美術館ランキング一位の美術館です。大塚製薬などの大塚グループが設立した大塚国際美術館は、世界の複製名画の展示で有名です。数年前の紅白歌合戦で、歌手の米津玄師さんが歌った中継先としても話題になりました。
さて、この陶板名画は陶板(タイル)に釉薬の絵の具で絵を描き、それを焼き上げてつくります。やきものなのですが、何度でも焼成が可能なので、専門家の監修のもとで色を修正し直して実物に限りなく近づけることができるのです。特徴は硬いやきものなので耐久性に優れています。手で絵画表面をさわることができます。おそらく観る以上の感覚が刺激されて絵画作品のもつディテールを感じることができるでしょう。
これは視覚的な美術体験を超えた新しい鑑賞方法です。従来の美術館では考えられない「さわる」という体験を通じて、名画に込められた情熱や画家の技術にふれることが可能です。ゴッホの「ひまわり」の絵の具の盛り上がりの筆遣いの勢いをじかになぞってみてください。
ところでこの複製陶板の技術はさらに研究が進み、文化財のリアルで精緻な立体複製をつくる事にも成功しています。貴重な文化財を再現した複製は、現段階での文化財の情報の記録でもありますが、リアルなモノとして手に触れたり、野外で展示したりと、文化財活用の可能性が広がることが期待されます。ぜひ高松塚古墳の壁画や縄文時代の火焔型土器に触ってみてください。
令和7年11月
市民ミュージアム大野城心のふるさと館 館長赤司善彦
「館長の部屋(過去記事)」へ移動します。- 「世界の水中遺跡の保存と活用」『水中遺跡の歴史学』山川出版社2018.3
- 「大宰府の都市の造営」『大宰府への道―古代都市と交通―』九州歴史資料館2018.4
- 「博多をめざした交易船をさがす」『西日本文化』478 2018.7
- 「公立博物館意識改革待ったなし」『西日本新聞』朝刊2018.7.21
- 「朝鮮式山城の特徴―主に兵站と備蓄―」鞠智城・古代山城シンポジウム資料集2018.10
- 「大宰府の都市と古代山城 The city of Ancient Dazaifu and mountain forts」イコモス・ICOFORT 国際会議2018論文集 2018.10
- 「古代山城とGIS―大野城・基肄城・阿志岐山城の眺望を中心としてー」『大宰府の研究』高志書院2018・11
- 「大宰府政庁前面域」『都府楼』50 公財古都大宰府保存協会 2018.11
- 「市民ミュージアム 大野城心のふるさと館」『歴史と地理 日本史の研究』264山川出版社2019.3
- 「市民ミュージアム 大野城心のふるさと館 こどもたちが歴史を体感する場」『歴博』213 2019.3 国立歴史民俗博物館
- 「大宰府と古代山城の誕生」・「大野城の研究成果」ほか『大宰府学研究』九州国立博物館アジア文化交流センター研究論集1 2019.3
注:「」は論題、『』は書籍名となります。
- 文化庁水中遺跡調査検討委員会副委員長
- 文化庁水中遺跡調査検討委員会協力者会議委員
- 日本学術振興会関連委員
- 福岡県・大野城市まち・ひと・しごと創生有識者会議委員
- 福岡県・春日市文化財専門委員
- 福岡県・久留米市文化財保存活用地域計画協議会委員
- 佐賀県・佐賀市東名遺跡整備基本計画策定委員会委員
- 長崎県・対馬市有識者会議構成員(対馬市博物館建設推進会議)
- 鹿児島県・瀬戸内町近代遺跡調査検討委員会委員長
- 鹿児島県・伊仙町生涯活躍のまちづくり町有地・施設利用構想検討委員
- 鹿児島県・徳之島町水中遺跡指導委員会委員
- 鹿児島県・天城町水中遺跡調査指導委員
- 鹿児島県・奄美市小湊フワガネク遺跡保存活用計画策定委員会委員
- 鹿児島県・与論町与論城跡調査指導委員会委員
- 九州国立博物館名誉館員
- 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所客員研究員
- 公益財団法人古都大宰府保存協会顧問
- 日本考古学協会会員
- 九州考古学会会員

